シンギュラリティは2045年頃とされていました。生成AIの登場で、シンギュラリティが早まるとの予測もあるようです。
生成AIは便利なのだろうが、得体が知れないので怖いという部分もあると思います。
そこで、どういったものなのかを理解して、リスクをコントロールしながら業務効率などを高めていくことをおススメしたいと思います。自動車のエンジンの仕組みがわからないので、車を使わないということはないと思います。AIも仕組みがわからなくても、便利だったら使えばよいと思います。
AIについて理解する
AIは何の略語?
一般的には、AIは「人工知能」と訳されています。Artificial Intelligenceを略したAIです。
Artificialには、人工的な、人造の、わざとらしい、気取ったといった意味があるようです。
Intelligenceは、知能、理解力、思考力といった意味があります。
芸術家の頭の構造が不思議に思うように、AIはARTで作る不思議な人工的な知能といった意味があるように感じます。
一時期IBMのWatsonがもてはやされた際、セミナーなどでは「拡張知能」と紹介していました。Augmented Intelligenceを略したAIです。
Augmentedには、拡張させる、増大させる、強化されたという意味があるようです。
人間の能力を拡張したり、助けたりするといった意味があるように感じます。私はこちらのAIの方が好みです。
AIブーム
現在は第3次AIブームから第4次AIブームにいます。私は3.5次くらいにいるのだと考えています。
生成AIガイドライン
生成AIの使い方に関するガイドライン
企業などの組織で生成AIを利用する場合は、情報流出などを避けながら利用する必要があります。いろいろな組織・団体が生成AIの利用ガイドラインを公開しています。
これまでも、インターネットの利用方法や電子メールの利用方法など、新しいツールが出てきた際には、各企業が規約やガイドラインを作成し、従業員に周知してきています。生成AIも便利だけれども、情報流出などのリスクがあるため、下記のガイドラインなどを参考にしながら上手に使っていきましょう。
デジタル庁は、「ChatGPTを業務に組み込むためのハンズオン」を一般向けに公開しています。手を動かしてみることやプロンプトの書き方のコツなどが示されています。
出典:https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/information/field_ref_resources/5896883b-cc5a-4c5a-b610-eb32b0f4c175/82ccd074/20230725_resources_ai_outline.pdf
東京都は、「文章生成AI利活用ガイドライン」を公開しています。都の職員向けに作成されたガイドラインですが、そのままさまざまな企業で活用可能な内容です。デジタル庁のモノよりも平易な表現で、読みやすいと思います。生成AIの特徴や使い方のコツなどが示されています。
出典:https://www.digitalservice.metro.tokyo.lg.jp/ict/pdf/ai_guideline.pdf
生成AIガイドラインの作り方に関するガイドライン
ゼロからガイドラインを作成することは大変です。下記を参照しながらたたき台として利用することで、ガイドラインの作成効率を高められると思います。
こういったガイドラインもChatGPTが生成してくれたらよいのでしょうが、過去に学習していないものに関しては狙い通りの文章を生成してくれません。
生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方
技術がどれだけ進んでも、その技術を活用して成果を出すのは人間です。成果を出すための人材やスキルについてまとめた資料が下記になります。
ChatGPTなどの生成AIの活用例
下記のような、具体的な仕事のシーンで生成AIを使うことができます。
- メール文章の作成:顧客に失礼のないメール文面の作成、メルマガの文面案の作成 など
- ドキュメント作成:顧客向けの提案資料の雛型・たたき台の作成 など
- FAQ、よくある質問の作成:既存のマニュアルからFAQを作成 など
- 文章の要約:技術文章などの難解な長文を要約する など
- 企画やアイデアの壁打ち:セミナーや講演会のテーマ案の提示、ネーミングやキャッチコピーの作成 など
- 自社商品・サービスの紹介文作成:ECサイトや提案資料に記載する商品・サービスの紹介文やキャッチフレーズの作成 など
- プレスリリースの作成:プレスリリースの構成案の作成、作成したプレスリリースの校正 など
- 表計算ソフトの関数の作成:データを集計するなどの関数を使った資料の作成
曖昧な質問でも関数を教えてくれます - ソースコード(プログラグ)の作成:ソースコードの作成、ソースコードのレビューやバグの指摘、リファクタリング など
ChatGPTをうまく使う方法
入力NGの内容
Googleは、私たちが検索窓に入力した内容などを学習して、便利な検索システムを提供しています。OpenAIなどの生成AIの企業も恐らく、私たちが入力するプロンプトなどの内容を学習して、より便利なChatGPTを提供していくのだと考えます。
オプトアウトを信頼しすぎず、社内で決めたガイドラインに則りChatGPTを利用することが必要だと考えます。
私は、下記は絶対に入力NGだと考えています。
- 個人情報(氏名、住所、機微情報など)
- 戦略、ノウハウなど社外秘の機密性・秘匿性のある情報
- 公開前の知財関連情報や未公表のアイデア
回答された情報はそのまま使わない
ChatGPTを利用した結果、回答された情報はあくまでも私たちの考えを深めたり、ドキュメントのたたき台を作るためのものです。そのまま利用することは、NGだと考えます。
理由は、ChatGPTなどの生成AIは何を学習データとして利用したか不明です。ネット上のコンテンツも利用されているでしょうし、メディアの情報や書籍の情報も利用されているのではないでしょうか。それらをもとにして回答された文章は、他人の著作権を侵害したモノである可能性があります。著作権侵害のモノを使うことはNGです。
また、男性優位の業界の場合など、性別に依存した回答がなされる可能性があります。バイアスが反映された回答を鵜呑みにすることはNGです。
さらに、「Aさんが○○と言っています。」といった回答を受け取った場合も、それが本当にAさんが発言した内容なのかわかりません。発言の背景や根拠、事実確認ができていないモノを使うことはNGです。
プロンプトの書き方
プロンプトの書き方は、プロンプトデザインやプロンプトエンジニアリングとして、ある程度セオリーが定まってきているようです。また、いくつかの流派が存在するようです。
ChatGPTの提供会社のOpenAIは、下記でプロンプトの書き方のコツを示しています。
私は、下記に気をつけながらプロンプトを書くようにしています。
- 自分の立場を明確にする
例:私は10人の従業員がいるパン屋さんの社長です。 - AIの立場を明確にする
例:あなたはマーケティングを得意にする経営コンサルタントです。 - 回答してほしい内容の目的を明確にする
例:○○で使用する目的です。 - 「#(シャープ)」を切り口の文頭に入れる
例:#制約条件 - 回答の文字数や回答方法を制限をする
例:300文字以内で回答する。箇条書きで回答する。 - シンプルに短く文章を書く & 追加情報を求める
1回のやりとりで回答を得るのではなく、複数回のやり取りでほしい回答に近づけていくのがよいと思います。ChatGPTなので、Chatで会話をやり取りする必要があるのだと思います。 - 的外れな回答が続く場合は、英語でプロンプトを書く
英語のようなプログラミング言語で恐らく作成され、英語で作成されたコンテンツを最も多く学習データとして利用していると思います。日本語のコンテンツも英語に翻訳したうえで学習データとして利用しているでしょうから、曖昧な表現の多い高コンテクストの日本語よりも、低コンテクストの英語の方がほしい回答が得やすいと思います。
日本で取り上げられることの多いプロンプトの書き方
日本では、「深津式プロンプト」、「シュンスケ式プロンプト」、「Few-shot Learning」、「Chain-of-Thought(CoT)」、「RQプロンプト」、「Zero-shot CoT」、「RELIC」などのプロンプトの書き方が有名です。
上記のような説明を受けてもいまいちわからない、わかったけどめんどくさいという方には、プロンプトジェネレーターを使うという方法もあります。
穴埋め式に情報を入れていくと、プロンプトを作成してくれます。
ChatGPTなどの生成AIは、便利な話し相手(秘書)として、自身のアイデアを温めることなどに使っていくのがよいと考えます。