少子高齢化に伴い、労働力人口が減少しているのはご存じのとおりです。企業の栄枯盛衰や人材流動化などに伴い、転職することが珍しくない時代に変わってきています。
企業側としては、労働力不足を補うために業界の水準を知ったうえで求人を出さなければ、応募を得ることが難しくなっているといえます。労働者側としては、業界ごとの給与水準を知ったうえで応募しなければミスマッチにつながると考えます。
もちろん企業規模が大きいことや業界内での序列が上位の企業ほど賃金水準が高く、下位に行くに従い賃金水準が下がっていくというのが一般的だと考えます。また、賃金だけでなく、仕事のやりがいや働きやすさなども転職先企業を選択するうえでは重要な要素だと考えます。
企業側の求人に関わる賃金相場は、一般社団法人 人材サービス産業協議会「転職賃金相場2022」を参照すると、求人企業側の応募賃金水準を業種・業界、地域ごとに知ることができます。より人材不足感が強い業種・業界は賃金水準が高くなっていると感じます。
注意点は、同協議会が人材紹介会社などの集まりで、人材募集時の情報をもとに資料が作成されているため、若干高めに表現される情報を使っている点です。実際の採用時の賃金額とは違いがあると考えておいたほうがよいと思います。
一方、労働者側の現実の賃金水準は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査_一般労働者_産業中分類」を参照すると、業種・業界、ならびに年齢層、企業規模ごとの賃金水準を知ることができます。残業代込みの「きまって支給する現金給与額」×12ヶ月分+ボーナスを反映した「年間賞与その他特別給与額」を足すことで年収水準を知ることができます。
注意点は、ある程度の企業規模がある企業が調査対象のため、若干水準が上振れしている点です。
いずれにしても、企業側としては同業他社に人材を買い負けず、労働者側から応募してもらえる賃金水準を提示する必要があると考えます。労働者側としては、業種・業界、企業規模、経験、働く地域などにより賃金水準が異なることを知り、賃金以外の要因も検討して応募することがミスマッチを防ぐことになると考えます。