大企業、中小企業など主に企業規模をベースとした区分けが行われています。今回はその区分けについて紹介します。
サマリ
| 大会社 | 大企業 | 中堅企業 | 中小企業 | 小規模企業 | |
| 製造業、建設業、運輸業、その他下記以外 | 資本金:5億円以上 負債合計:200億円以上 | 右記以外 | 従業員数:2,000人以下 | 資本金:3億円以下 従業員数:300人以下 | 従業員数:20人以下 |
| 卸売業 | 資本金:5億円以上 負債合計:200億円以上 | 右記以外 | 従業員数:2,000人以下 | 資本金:1億円以下 従業員数:100人以下 | 従業員数:5人以下 |
| サービス業 | 資本金:5億円以上 負債合計:200億円以上 | 右記以外 | 従業員数:2,000人以下 | 資本金:5,000万円以下 従業員数:100人以下 | 従業員数:5人以下 |
| 小売業 | 資本金:5億円以上 負債合計:200億円以上 | 右記以外 | 従業員数:2,000人以下 | 資本金:5,000万円以下 従業員数:50人以下 | 従業員数:5人以下 |
経済産業省のMETI Journal「中堅企業って何?~知っておきたい経済の基礎知識~」によると社数は下記のようになっているようです。個人事業主も含んでいるため「者」(社じゃない)となっています。
| 大企業 | 中堅企業 | 中小企業(小規模企業を含む) | |
| 社数 | 約1,300者 | 約9,000者 | 約336万者 |
| 割合 | 0.04% | 0.27% | 99.69% |
規模による区分け
大会社
会社法で定義されています。資本金や負債で区分けされています。
金額が多額で社会に与える影響が大きくなるため、大会社に対する区分けが設けられているようです。
第一編 総則
会社法
第一章 通則
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
六 大会社 次に掲げる要件のいずれかに該当する株式会社をいう。
イ 最終事業年度に係る貸借対照表(第四百三十九条前段に規定する場合にあっては、同条の規定により定時株主総会に報告された貸借対照表をいい、株式会社の成立後最初の定時株主総会までの間においては、第四百三十五条第一項の貸借対照表をいう。ロにおいて同じ。)に資本金として計上した額が五億円以上であること。
ロ 最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が二百億円以上であること。
大企業
法的な定義はありません。中堅企業や中小企業よりも規模の大きな会社を指します。
中堅企業
産業競争力強化法で定義されています。2,000人以下を常時雇用している企業が中堅企業(中小企業者を除く)となります。
第一章 総則
産業競争力強化法
(定義)
第二条
24 この法律において「中堅企業者」とは、常時使用する従業員の数が二千人以下の会社及び個人(中小企業者を除く。)をいう。
中小企業(中小企業者)
中小企業基本法で定義されています。業種と資本金、従業員数で区分けされています。
第一章 総則
中小企業基本法
(中小企業者の範囲及び用語の定義)
第二条 この法律に基づいて講ずる国の施策の対象とする中小企業者は、おおむね次の各号に掲げるものとし、その範囲は、これらの施策が次条の基本理念の実現を図るため効率的に実施されるように施策ごとに定めるものとする。
一 資本金の額又は出資の総額が三億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社及び個人であつて、製造業、建設業、運輸業その他の業種(次号から第四号までに掲げる業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
二 資本金の額又は出資の総額が一億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人であつて、卸売業に属する事業を主たる事業として営むもの
三 資本金の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人であつて、サービス業に属する事業を主たる事業として営むもの
四 資本金の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が五十人以下の会社及び個人であつて、小売業に属する事業を主たる事業として営むもの
小規模企業(小規模企業者)
中小企業基本法で定義されています。業種と従業員数で区分けされています。
第一章 総則
中小企業基本法
(中小企業者の範囲及び用語の定義)
第二条
5 この法律において「小規模企業者」とは、おおむね常時使用する従業員の数が二十人(商業又はサービス業に属する事業を主たる事業として営む者については、五人)以下の事業者をいう。
その他の区分け
税法で資本金や出資金による区分けもあります。法人税を安くするため資本金1億円以下に減資して・・・というニュースで有名になりました。
第二節 税額の計算
法人税法
第一款 税率
(各事業年度の所得に対する法人税の税率)
第六十六条 内国法人である普通法人、一般社団法人等(別表第二に掲げる一般社団法人、一般財団法人及び労働者協同組合並びに公益社団法人及び公益財団法人をいう。次項及び第三項において同じ。)又は人格のない社団等に対して課する各事業年度の所得に対する法人税の額は、各事業年度の所得の金額に百分の二十三・二の税率を乗じて計算した金額とする。
2 前項の場合において、普通法人(通算法人を除く。)若しくは一般社団法人等のうち、各事業年度終了の時において資本金の額若しくは出資金の額が一億円以下であるもの若しくは資本若しくは出資を有しないもの又は人格のない社団等の各事業年度の所得の金額のうち年八百万円以下の金額については、同項の規定にかかわらず、百分の十九の税率による。
二 大法人(次に掲げる法人をいう。以下この号及び次号において同じ。)との間に当該大法人による完全支配関係がある普通法人
イ 資本金の額又は出資金の額が五億円以上である法人
まとめ
普段何気なく大企業や中小企業といった表現を行いますが、細かな部分では法律により定義が決まっており、それにより果たすべき義務や受けられる支援の範囲が決まっています。
国や自治体などから支援を受けたいと考えた際に、自社がその対象となっているかを判断するときなどに確認することが必要です。支援を受けることを考えるたびに確認することが必要になるので、専門家に助言を求めることも有効だと考えます。


